「営業を辞めたい」と思っても、すぐには辞められない状況もあるでしょう。辞めない方がいいかもしれない、辞めることは甘えなのかもしれない、など自分を責めるような考え方をしていたら黄色信号です。
どんな仕事も辞める・辞めないは個人の自由であり、それが甘えかどうかを決めるのもまた自分自身です。
営業を辞めたいのは甘えじゃない
まず「なぜ営業を辞めたいのか?」を明確にしましょう。その動機次第では、営業に対する適正なのか、営業に限らず仕事全般に通ずることなのかで、営業を辞めたいのが「甘え」かどうかをハッキリさせられます。
とはいえ、多くの悩める営業マンが「営業を辞めたい」と考える原因は、営業に対する認識の問題がほとんどです。その場合は辞める=甘えではありません。
営業を辞めたい理由は人によって異なりますが、ご自身が以下のどれに当てはまるかを確認してみてください。
【甘えじゃない】営業を辞めたい理由
営業を辞めたい理由の中でも、以下の場合は甘えではありません。
- 断られるのがつらい
- 売り込みが嫌
- 激務がつらい
- 人とコミュニケーションとるのがつらい
- 他にやりたいことがある
自分がやりたくないことが明確になり始めており、何をするとストレスが大きいのかもわかっている。こんなケースでは、営業を辞めた方がいい良い場合もあります。自分に嘘をついてまで無理をすることを最も避けるべきです。
上記に該当する人は、仕事そのものが嫌なのではなく、営業という職種そのものに疑問を感じていたり、それによって他の仕事への興味が強まっていることでしょう。その場合は、営業を辞めるのはひとつの選択であり決して甘えなどではありません。
断られるのがつらい
「営業は断られるのも仕事のうち」と言われることもありますが、断られること自体にポジティブな要素はありません。それを糧にしてレベルアップしたり、断られる回数が多い=とにかくたくさん行動した結果であることは前向きな解釈です。しかし、なぜ断られるのか?が明確でなければ、ただ心労が絶えないだけでしょう。
断られるのは、提案がお客様のニーズに合っていない、もしくは提案内容を理解してもらえていないためであり、そこは営業マンのスキル次第ではあります。とはいえ、断られ続けて、立ち止まって考えることも難しくなっている精神状態では泥沼にはまってしまいます。
単に「断られるのがつらい」という理由だけでは、営業活動を見直すなどボトルネックを解消する方法はたくさんありますが、営業という仕事そのものに懐疑的になって抜け出せない場合は一度離れた方が賢明です。
売り込みが嫌
「営業は売り込むことが仕事」だと間違って認識している人は、売り込む形でしか営業活動できません。その結果、必要とされない場面が多くなってくることで「売り込みはもうしたくない」と意気消沈して辞めたくなることでしょう。
営業はお客様の課題を解決することが使命であり、決して売り込むことではありません。そのため、売り込まない営業活動ができずに目先の利益を追いかけるばかりではいつか限界がきます。その結果、営業を辞めたくなってしまうことは甘えではありません。ただ考え方が間違っているだけです。
「能力不足」と「甘え」は別物です。営業に対する理解が及ばないことは前者ですが、能力不足の原因を認識していながら改善しようとせず辞めるのであれば、それは甘えということになります。
激務がつらい
営業と聞いて、楽な仕事だと想像する人はほとんどいないと思います。もちろん会社によって働き方は異なり、営業の仕事も多分に漏れません。ですが、ノルマがない営業は珍しいと感じるほど、営業マンの多くの場合は毎月ノルマを達成するために奔走していることでしょう。
そのため、激務に追われている営業マンが「辞めたい」と思うのは自然なことです。キャパオーバーの業務量をこなせずに辞めることは甘えではありません。むしろ、そのまま身体に負担をかけ続けることの方がリスクであり、自己管理という面でもやはり続けるべきではないでしょう。
「与えられた仕事の量をこなせない」
「周りはできている量が自分にはできない」
これらは会社の教育体制も関係してくるため、個人の努力不足という言葉で片づけるべきではありません。また個人の能力によってもキャパは変わるため、「周りができているから自分もできなければいけない」と考えるべきでもありません。
人とコミュニケーション
とるのがつらい
予めコミュニケーションが得意ではない人が営業職をわざわざ選ばないと思いますが、「苦手」と「つらい」は違うため、苦手ではなくても、営業職に就いてから人とコミュニケーションをとるのがつらくなってしまう人もいます。
前述の「断られてばかりの状況」や「激務」などに追い込まれ、精神的にまいってしまうと人との会話もストレスに感じるようになってしまうでしょう。そうなってしまったら、一度、仕事と距離を置くべきです。精神疾患は甘えではありません。それを認めて、もっと強くなることに意味があります。
これまでになかったような機微を感じたら、「甘えかも」と疑うより前に心の健康状態を確認しましょう。
他にやりたいことがある
営業ではなく、他にやりたいことがある場合も甘えではありません。別の道を選ぶことが「逃げる」ことなのではないか?と感じられてしまうかもしれませんが、興味以上に強い動機はありません。辞めることが必ずしも逃げることではなく、むしろ自分の心に正直になれないことこそが、現実から逃げているともいえます。
ただし、営業をやりたくないから別の仕事に無理に興味を示そうとしている場合は別です。その場合は、営業を続けた方がいいケースもあるため、本心がどこにあるのかを正直に自己分析しましょう。
【甘えかもしれない】営業を辞めたい理由
上記のような理由で営業を辞めたい場合は甘えではありません。しかし、営業がどうとかではなく、仕事そのものに対する姿勢が間違っている場合は甘えと捉えられても仕方ないでしょう。
「それって営業を辞めたいのではなく、そもそも仕事したくないだけなのでは?」と思われてしまうような理由では、辞めた後に後悔する可能性も高く、冷静に判断できるうちに本当の気持ちを探るべきです。
例えば、以下の理由で営業を辞めたい人は、単に仕事が嫌になっているだけの可能性があります。
- 成績があがらない
- もっと楽な仕事がしたい
- 営業に向いていない気がする
成績があがらない
成績があがらないから辞めたいでは、上手くいかない現状を変えようとせずに仕事を放棄してしまっています。何年も続けていて、様々な創意工夫を重ねてきたにも関わらず成績不振なのであれば適性の問題もありますが、営業をはじめて間もないうちは適正を見極めることもできません。
なぜ契約数を増やせないのかを考え、営業という仕事をもっと理解せずに辞めるのは甘えです。今後の自分のためにならない選択を避けるためにも、「成績が上がらないから辞めたい」ではなく、「なぜ成績があがらないのか?」を細分化して根本的な原因を追究してから向き不向きを考えてみてください。
営業は、お客様の未来をよりよくするために働きかける仕事であり、そのために目先や将来における課題を解決します。その本質を理解したうえで営業活動に励み、その結果として、やはり「営業は自分にとって違うかもしれない」と思うのであればそれから判断した方が賢明です。
もっと楽な仕事がしたい
世の中に楽な仕事はほとんどありません。厳密には、やり方次第ではそういった仕事もあるかもしれませんが、経験やスキルを積まずにいきなり楽だけを求めても望むような環境は手に入りづらいでしょう。
「上手くいかないから、今よりも楽な環境で仕事したい」という考えは、相対的に楽な環境を求めることであり、それを繰り返していると仕事環境は悪化の一途をたどってしまう可能性が非常に高いです。
今の環境でできる限りの努力をして、そのうえで変化を求めていくのであればステージを上げていくことができますが、最善を尽くさずに都合の良いことばかりを求めることはできません。
営業をしていれば「つらいから逃げ出したい」と思うこともあるでしょう。その気持ちも素直に認めて、営業が嫌なのか?仕事そのものをしたくないだけなのか?を切り分ける必要があります。
営業に向いていない気がする
営業は一長一短で成果が出る職種ではありません。働き始めて数ヶ月経って成績が伸び悩んでいる。もしくは、全く成績があがらなかったとしても、それだけでは「営業に向いていない」と判断することはできません。
「営業に向いていない気がする」と感じる場合、体育会系のゴリゴリ営業が自分にはできないことを理由にしている場合がほとんどだと思いますが、断られても売り込み続けるのが営業の仕事ではありません。本当の営業は、お客様をファンに変える力を持ち、評判から紹介を呼び込む好循環を生み出します。
そもそもの営業に対する認識が間違ったまま、そのイメージどおりにできないからといって「営業に向いていない」と考えるのは問題をはき違えてしまっています。正しい営業とは何なのか?を知ろうとせずに諦めるのは甘えになってしまうでしょう。
営業が向いていなければ辞めてもいい
営業に限らず、仕事を辞めたいと思ってしまうのは、その仕事に適正がなかったからです。決して弱い人間だからとか、甘えではありません。つらかったら辞めてもいいんです。
営業はとくに、社会的に間違った認識がはびこりやすく、その価値観を押し付けられてしまうケースが珍しくありません。そして、そのとおりにできない自分を責めたり、「辞めたいのは甘えているからだ」と自責の念にかられてしまいます。
ですが、営業を辞めたいと思うのは甘えではなく、むしろ営業という仕事を再定義する絶好の機会だったりします。
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